2026.05.25

乳歯が抜ける順番|下の前歯から始まる生え変わりの目安を解説

「乳歯がぐらつき始めたけれど、この順番で抜けて大丈夫なのだろうか」というご相談を受けることがあります。

当院でも、保護者様からこうしたご質問をうかがう機会は珍しくありません。本記事では、乳歯が抜ける一般的な順番と年齢の目安、順番が前後したときの考え方について、30年以上小児を診てきた経験を踏まえて解説いたします。

乳歯が抜ける順番の
基本パターン

乳歯が抜ける順番の基本パターン

乳歯が抜ける順番は、おおむね下の前歯から始まります。そこから上の前歯、奥歯へと進んでいくのが標準的な流れです。

日本小児歯科学会の資料でも、下顎乳中切歯(下の前歯の真ん中)の脱落が6歳前後で始まり、第二乳臼歯(一番奥の乳歯)の脱落は11〜12歳ごろまで続くと示されています。

抜ける順番の目安一覧

順番の目安は次のとおりです。

  1. 6〜7歳
    下の前歯(乳中切歯)
  2. 7〜8歳
    上の前歯(乳中切歯)、その後側切歯
  3. 9〜11歳
    第一乳臼歯(手前の奥歯)、犬歯
  4. 10〜12歳
    第二乳臼歯(一番奥の乳歯)

ただし、これはあくまで平均的な目安です。お子様によって半年〜1年前後ずれることはよくあり、それ自体は心配のいらない範囲に入ります。下より上が先に動き始めるケースや、左右で交換時期がずれるケースもあります。

永久歯が生える順番との関係

乳歯が抜ける順番と永久歯が生える順番は、おおむね連動しています。下の前歯が抜けると下の永久前歯が顔を出し、続いて上の前歯が交換されていく流れです。

ただし、6歳臼歯(第一大臼歯)と呼ばれる永久歯は乳歯の後ろに「乳歯を押し出さずに」生えてくるため、抜けない歯の後ろに新しい歯が見えたとお気づきになる保護者様もいらっしゃいます。
この6歳臼歯は気づかれにくい歯で、生えかけの段階で虫歯になることもあるため、生え変わり期の検診で必ず確認したいポイントです。

年齢ごとの
生え変わりの目安

年齢ごとの生え変わりの目安

ここからは年齢別に、もう少し具体的な流れを見ていきます。結論を先に申し上げると、生え変わりは「6歳前後の前歯」「8〜10歳の側方歯」「11〜12歳の奥歯」という3つの波で進むと整理すると分かりやすいです。

6歳前後で始まる前歯の生え変わり

最初の生え変わりは、下の前歯から始まることが多いです。乳歯が動き始めてから自然に抜けるまで、おおむね2〜3週間ほどかかります。

並行して、奥のほうから6歳臼歯が顔を出してきます。この6歳臼歯はもともと何もなかった場所に新しく生える歯であり、保護者様にとっては「乳歯が抜けていないのに新しい歯が見えた」と感じる歯でもあります。

8〜10歳ごろの側方歯交換期

8〜10歳ごろは、前歯と奥歯の中間にある側切歯・犬歯・第一乳臼歯の交換が進む時期です。この時期は、抜けた歯と新しい歯のサイズが合わずに歯並びが一時的に乱れて見えることがあります。

私自身、診療の中で「並びがガタガタになった」とご相談を受けますが、多くの場合は永久歯が出そろうまで様子を見て差し支えありません。

11〜12歳で完了する大臼歯と犬歯

11〜12歳ごろになると、最後に第二乳臼歯と上下の犬歯の交換が起こります。同じ時期に12歳臼歯(第二大臼歯)も生え始めるため、口の中の変化が一気に進む印象を持たれることが多いです。

第二大臼歯は奥に生えるぶん磨きにくく、生えたての時期に虫歯になりやすい歯でもあります。

順番が違うとき、
抜けないときの判断

順番が違うとき、抜けないときの判断

「順番どおりに抜けないと心配したほうがよいのか」というご質問は、当院でも月に数件いただきます。結論からお伝えすると、半年〜1年程度の前後であれば、ほとんどの場合は経過観察で問題ありません。

自宅で観察できるポイント

ご自宅では次の点を見てあげてください。

  • 乳歯がぐらついているか
  • 後ろや内側から永久歯が顔を出していないか
  • 同じ場所が半年以上動かないままになっていないか
  • 永久歯が生えるべきスペースが極端に狭くないか

特に、乳歯が抜けたのに3〜6ヶ月たっても永久歯が見えてこない場合は、レントゲン検査で内部の状態を確認したほうが安心です。

受診を検討すべきサイン

次のような場合は、一度歯科医院で診てもらうことをお勧めします。

  • 永久歯が乳歯の後ろや内側から生え、乳歯が抜けそうにない(いわゆる二枚歯の状態)
  • 7歳を過ぎても1本も乳歯が抜けず、永久歯の兆しも見えない
  • 同じ場所だけ極端に交換が遅れている
  • 痛みや腫れ、出血が続いている

二枚歯の状態は珍しいものではなく、舌で永久歯を押す習慣があるお子様に多い傾向があります。乳歯のぐらつきが弱いまま固定されている場合は、抜歯で交換を促すこともあります。

 

当院での生え変わり期の
関わり方

当院での生え変わり期の関わり方

当院では、生え変わりの時期にあたるお子様に対して、定期的なレントゲン検査と仕上げ磨き指導を組み合わせた長期的な管理を行っています。

親子代々で通院されているご家族を診てきた中で実感するのは、生え変わり期に「気にしすぎず・放置もしない」距離感が、後の歯並びと虫歯予防に大きく関わるという点です。

検診の間隔としては3〜4ヶ月に1度を目安とし、生え変わりの進み具合と虫歯のリスクを一緒に確認していきます。

よくある質問

Q.乳歯がぐらついてから抜けるまで、どのくらいかかりますか

個人差はありますが、ぐらつき始めてから自然に抜けるまでは2〜3週間が一つの目安です。お子様自身が舌や指で動かしているうちに、少量の出血を伴って自然に抜けることが多いです。

無理に引っ張ると歯茎を傷める原因になりますので、ぐらつきが大きくなるまで待ってあげてください。固いものを無理に避ける必要はなく、普段どおりの食事のなかで自然に外れる流れが理想的です。

Q.永久歯が乳歯の後ろから生えてきました。すぐに抜歯したほうがよいですか

状況により判断が分かれます。乳歯が大きくぐらついていれば数週間で自然に抜けることが多いですが、しっかり生え変わっておらず永久歯がだいぶ顔を出している場合は、歯並びへの影響を考えて抜歯を検討します。

自己判断は避け、一度ご相談いただくと安心です。永久歯の位置や乳歯の根の吸収状態をレントゲンで確認したうえで、抜歯のタイミングを判断します。

Q.抜けたあとの穴から出血が続いています

通常、出血は10〜20分程度で落ち着きます。清潔なガーゼやティッシュを軽く噛んで、しばらく圧迫してあげてください。30分以上止まらない、血の塊が大きく膨らむといった場合は、歯科医院へご連絡ください。

当日は強くうがいをせず、患部を舌で触らないように声かけしていただくと、出血が長引きにくくなります。

Q.乳歯が抜けた後にしばらく穴が空いたままです。問題ありませんか

永久歯が生え始めるまで、数週間〜数ヶ月のあいだ穴が空いた状態が続くことは普通にあります。

半年以上経っても永久歯の白い先端が見えてこない場合は、念のためレントゲンでの確認をお勧めします。永久歯がもともと無い(先天欠如)ケースもまれにあり、早めに把握しておくほうがその後の見通しが立てやすくなります。

生え変わり期は、お子様の成長を実感できる大切な時期でもあります。気になる点が出てきましたら、お気軽にご相談ください。