2026.08.31

顎関節症の症状とは?代表的な3つのサインと自己チェック


あごが痛い、口を大きく開けられない、開け閉めのたびに音がする。こうした症状に心当たりがあり、顎関節症ではと気になっている患者様は珍しくありません。

当院でも、症状の程度や見分け方についてのご相談をいただきます。顎関節症の症状にはいくつかの型があり、程度も人によってさまざまです。

本記事では、代表的な3つのサインと自己チェックの目安を、噛み合わせを診てきた立場からお伝えします。

顎関節症とは
どんな病気か

顎関節症とはどんな病気か

顎関節症は、あごの関節や、あごを動かす筋肉に不調が起こる状態の総称です。

症状の出方は一つではなく、痛みが中心の方もいれば、音や開けにくさが目立つ方もいます。特別な人だけがなるものではなく、日々の癖や負担の積み重ねで、誰にでも起こりうる身近な不調です。

症状の全体像

顎関節症の症状は、大きく3つに整理できます。あごやその周りの痛み、口の開けにくさ、そして関節の音です。これらが単独で出ることもあれば、重なって現れることもあります。症状の強さも、日によって変わるのが特徴です。

顎関節症には、いくつかのタイプがあります。噛むときの筋肉が主に関わるタイプ、関節を包む組織が関わるタイプ、関節の中のクッション(関節円板)がずれるタイプなどです。

タイプによって出やすい症状が異なり、同じ顎関節症でも人によって現れ方が変わります。症状をひとまとめにせず、どの症状がどう出ているかを見ていくことが、手がかりになります。

似た症状と間違えやすいもの

あごの痛みは、虫歯や親知らず、耳や副鼻腔の不調が原因のこともあります。頭痛や肩こりと重なると、原因が分かりにくくなります。自己判断で決めつけず、続く場合は確認しておくと安心です。

たとえば、親知らずの周りの炎症で口が開けにくくなることもあれば、虫歯の痛みがあごに響くこともあります。

耳の病気で耳の前が痛むと、顎関節症と区別がつきにくい場合もあります。似た症状が多いからこそ、原因を見極める確認が役立ちます。

顎関節症の
代表的な3つの症状

顎関節症の代表的な3つの症状

結論からお伝えします。顎関節症のサインは、痛み・開けにくさ・音の3つが柱です。ひとつずつ見ていきましょう。

顎やその周りの痛み

口を開け閉めするとき、あごの関節や頬のあたりが痛む。これが最も気づきやすいサインです。

噛んだときや、あくびで大きく開けたときに痛みが出る方もいます。痛みは関節そのものだけでなく、噛むときに使う筋肉(咀嚼筋)から起こることもあります。

痛む場所は、耳の前のあたり、こめかみ、頬など、人によってさまざまです。関節が原因の場合は耳の前あたりに、筋肉が原因の場合は頬やこめかみに感じやすい傾向があります。

食事中に痛む、長く話すと疲れる、朝起きたときにあごがだるいといった形で気づく方もいます。強い痛みでなくても、続く場合は負担のサインと考えて差し支えありません。

口が開けにくい(開口障害)

指を縦にそろえて、3本分ほど(およそ40mm前後)口が開くのが一つの目安です。

指2本分ほどしか開かない、開ける途中で引っかかる感じがある場合は、開口障害の可能性があります。食事や歯磨き、あくびのしづらさとして気づく方が多くいます。

開けにくさには、痛くて開けられない場合と、引っかかって物理的に開かない場合があります。

後者は、関節の中のクッションがずれて、動きの邪魔をしていることがあります。急に口が開かなくなる状態が起こることもあり、その場合は早めの対応が望まれます。

顎を動かすと音がする(関節雑音)

口を開け閉めするときに、カクッ、ジャリジャリといった音がすることがあります。音だけで痛みがなければ、必ずしも治療が必要とは限りません。ただし、音に痛みや開けにくさが加わってきた場合は、注意が必要です。

音には種類があります。カクッ、コリッという弾けるような音は、関節のクッションの動きに関わることが多いとされます。

ジャリジャリ、ミシミシという擦れるような音は、関節の表面の変化と関わることがあります。音の種類だけで原因を決めることはできませんが、変化に気づく手がかりにはなります。

症状の自己チェックと
受診の目安

症状の自己チェックと受診の目安

自分の状態を把握しておくと、受診の判断がしやすくなります。ここでは、チェックの目安をまとめます。

自己チェックの項目

口を開けると痛む、指3本分開かない、開け閉めで音がする、噛むと疲れる、朝起きたときにあごがだるい。こうした項目に複数当てはまる場合は、あごに負担がかかっているサインかもしれません。

左右で開き方に差がある、口が開かなくなったことがある、という点も目安になります。

チェックは、あくまで受診の判断材料です。当てはまる数が多いほど重い、と単純に決まるわけではありません。

1つでも、その症状が強い、あるいは長く続く場合は注意が必要です。項目の数と、続いている期間の両方を見ていただくと、実態に近づきます。

受診を検討すべきサイン

痛みが強い、口がほとんど開かない、症状が数日以上続く。こうした場合は、自己判断で様子を見すぎず、歯科にご相談ください。急に口が開かなくなったときは、早めの受診をおすすめします。

反対に、軽い音だけで痛みも開けにくさもないときは、あわてる必要はありません。変化に気をつけながら、続くようなら確認する、という構えで十分なことが多いといえます。

症状を総合的に
見立てる当院の対応

症状を総合的に見立てる当院の対応

症状が一つだけなのか、複数が重なっているのか。その組み合わせによって、あごの状態は変わってきます。

私は補綴や噛み合わせを専門的に学んできた立場から、痛みの出方、開き方、音の種類を確かめ、原因を一つに決めつけずに見立てることを心がけています。

問診では、いつから、どんなときに症状が出るのか、朝と夜でどう違うのかも伺います。症状は日や時間帯で変わるため、こうした情報が見立ての助けになります。

必要に応じて、あごの動きや開く量を実際に確認し、他の病気との区別も行います。

顎関節症は、日本顎咬合学会など噛み合わせを扱う学会でも研究が重ねられている分野です。当院では、必要に応じて生活習慣まで一緒に振り返りながら、負担を減らす方法を考えていきます。

よくある質問

Q.音がするだけで痛みはありません。受診すべきですか?

音だけで痛みや開けにくさがなければ、すぐの治療が必要とは限りません。ただし、音は関節に負担がかかっているサインのことがあります。

音に痛みや引っかかりが加わってきた場合は、一度確認されることをおすすめします。音の大きさよりも、痛みや動かしにくさを伴うかどうかが、判断の目安になります。経過には個人差があります。

Q.症状が出たり消えたりします。放っておいてよいですか?

顎関節症の症状は、日によって変わることが珍しくありません。軽いうちに癖を見直すと、和らぐこともあります。

ただ、繰り返すうちに強くなる場合もあるため、気になる状態が続くなら確認しておくと安心です。とくに、消えていた痛みがぶり返す、開けにくさが加わってきたといった変化があるときは、様子を見すぎないほうがよいかと思います。

Q.片側だけ症状が出るのはなぜですか?

片側だけで噛む癖や、頬杖などの生活習慣で、左右のバランスがくずれることがあります。その結果、片方に負担が集中し、症状が出ることがあります。

噛み方の癖を見直すことも、対策の一つになります。反対側で噛みにくい事情(虫歯や合わない被せ物など)が隠れていることもあるため、片側の症状が続く場合は確認をおすすめします。

Q.子どもや高齢の方も顎関節症になりますか?

年齢を問わず起こりますが、20〜40代の方に多いとされています。お子様の場合は成長の過程で変化することもあり、ご高齢の方は関節の変形が関わることもあります。

若い方では食いしばりや生活習慣、ご年配の方では長年の負担の積み重ねが背景にあることも多く、年代によって関わる要因が異なる場合があります。

気になる症状があれば、年齢にかかわらずご相談ください。

症状の種類や組み合わせは、人によってさまざまです。当てはまる項目が続くようなら、自己判断を避けて確認してみてください。

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